2024年1月25日(土)、小金井市立東小学校(東京・小金井)のPTAの皆さまにお招きいただき、コンサートを開催いたしました。東小学校の児童、ご家族の皆さまのために開催した限定コンサート。今回のコラムでは、その様子をレポートいたします。稽古〜リハーサル2月に開幕する新作コンサート『海にまつわる曲を集めてみました♪』や、11月に開幕を控える『くじらの夫婦』プロジェクトの準備と同時進行で、今回の限定コンサートの稽古は行われました。コンサートの目玉となるのは、Trio99がこれまで2度上演しているお馴染みの演目、G.C.メノッティ作曲のコミックオペラ『電話』です。限られた稽古時間の中でも、細かい点まで丁寧に演出が入ります。↑木村はる奈(ソプラノ/写真中央)が演じるのは、電話が大好きな主人公ルーシー。演出の近藤圭(バリトン/右)は「電話を子犬だと思って」と、実演しながら演出しています。かわいらしい近藤の仕草に、メンバーから笑いがこぼれます。↑近藤が「こぶしをきかせて」「都はるみさんのように」と演出をつけたシーン。演出どおり歌う木村の後ろで、近藤も同じフリをしています(笑)。↑ピアノの吉田幸央(写真中央)に向けた演出もつきます。近藤曰く、吉田は“演技するピアニスト”。これまでのTrio99作品でも重要な役を演じてきました。今回の近藤のリクエストは、ルーシーの話を聞いた吉田が、伴奏に合わせて頷くというもの。「ここは手がクロスするところだから、難しいんだよなぁ」と言いながらも、吉田は完璧にリクエストに答えていました。今回のコンサートでは、小学生の皆さまにも楽しんでいただけるよう、ディズニーやジブリの有名映画からの楽曲も多く披露しました。木村は映画『リトル・マーメイド』より「パート・オブ・ユア・ワールド」(アラン・メンケン 作曲 / ハワード・アッシュマン 作詞 / 松澤薫、近衛秀健 訳詞)、近藤は映画『トイ・ストーリー』より「君はともだち」(ランディ・ニューマン 作詞・作曲 / 中川五郎 訳詞)をそれぞれソロで歌唱。そしてデュエットで映画『アラジン』の「ア・ホール・ニュー・ワールド」(アラン・メンケン作曲 / 湯川れい子 訳詞)も披露。本番の数日前には、会場となる東小学校の体育館でリハーサルも行いました。会場の設営などを行なってくださったPTA役員の皆さまからは、リハーサルでのTrio99メンバーの歌唱を聞いて「すでに感動しています」と嬉しいお言葉もいただきました。本番直前に曲目変更!そして迎えた限定コンサート当日。Trio99が会場入りすると、こんな素敵なメッセージが!会場の設営を行い、ピアノをセッティング。(吉田は、指慣らしにショパンの「革命」を演奏していました!)当日は、コンサート後半の『電話』のリハーサルからスタート。続けて、ディズニーやジブリの楽曲を披露する前半パートの練習に移ります。と、ここで吉田から、ピアノソロを1曲入れたいという提案が。今回、前半パートの曲目にはクラシックの楽曲が入っていなかったため、1曲クラシックの名曲を聞いてもらうのもいいのではないかと。演奏するソロ曲として吉田が提案したのは、ショパンの「革命」。(リハーサル前に演奏していたのは、このためだったのです!)吉田の提案を受けて、近藤、木村もぜひクラシックを入れようという方向に。3人それぞれがソロの楽曲を披露することになりました。予定していた演目を一部変更して、吉田はショパンの「革命」、木村はモーツァルトのオペラ『魔笛』より「夜の女王のアリア」、近藤はシューベルトの歌曲「魔王」をソロの演目として急遽決定!本番数時間前になって突然の演目変更でしたが、それぞれ何度も演奏してきたレパートリーなだけあって、完成度の高い演奏が体育館に響きます。会場準備をされていたスタッフの皆さんからも思わず拍手が。前半パート字幕や曲名を表示するスライドも、近藤が急いで修正。ゆっくり休む間もなく開演を迎えました。用意したお席がほぼ埋まるほどたくさんのお客様にお越しいただき、限定コンサートは始まりました。木村、近藤は客席後方から「フニクリ・フニクラ」を歌いながら登場。お客様から驚きの声が上がります。「フニクリ・フニクラ」は、イタリアにある火山 ヴェスヴィオ山に開通した登山鉄道の“CMソング”として書かれた曲なんですよ、と近藤が紹介。2曲目は、今日のお客様にとって一番身近な楽曲 小金井市立東小学校の校歌です。もしよかったら一緒に歌ってくださいね、とお声がけしてしてから演奏を始めると、何人かの児童の皆さんが一緒に歌ってくださいました!ここから、当日急遽決まったクラシックパートへ。前振りとして「ピアノを弾く子はいますか?」と質問すると、ちらほらと手があがります。続けて「ピアノ以外の楽器をやっている人は?」と聞くと、こちらも何人かのお子様が手をあげてくださいました。そのうちのお一人に近藤が「何をやっているの?」とマイクを持っていくと、「トランペット」との答えが!さらに木村が「どうしてトランペットをやろうと思ったの?」と質問。「映画『天空の城ラピュタ』で(主人公)パズーがトランペットを吹く場面を見て、演奏したいと思った」という素敵なエピソードを聞かせてくださいました。「夜の女王のアリア」「魔王」「革命」の3曲は急遽の演目変更のため、字幕の表示はなく、音楽を感じていただく形でお楽しみいただきました。演奏後のトークでは、「言葉はわからなかったかもしれないけど、雰囲気はわかったかな?」という言葉に頷いてくださるお客様も。続いてはディズニー、ジブリ映画の楽曲を披露。「好きなディズニーキャラクターは?」「ジブリ映画は見たことがある?」など、お客様とコミュニケーションを取りながら演奏が進みます。最後には、映画『となりのトトロ』より「さんぽ」(久石譲 作曲 / 中川李枝子 作詞)を会場の皆さんと一緒に歌って、前半パートが終わりました。後半パート『電話』後半パートは、G.C.メノッティ作曲のコミックオペラ『電話』です。ベンは出張前に恋人のルーシーにプロポーズしようとやってきます。ところがルーシーは次々とかかってくる電話に夢中。ベンはなかなかルーシーに想いを伝えることができません。電話が嫌いになるベン。しかし、ルーシーにプロポーズする新たな案を思い付きます。前半パートとの間の15分間の休憩では、体育館を走り回っていた児童の皆さんも、後半が始まると吸い込まれるように舞台に注意を向けます。次々とかかってくる電話に、言いかけたプロポーズの言葉を何度も邪魔されるベン。物語が進むと、電話の音を聞いて「あ〜あ」とリアクションしてくださるお子様もいらっしゃいました。約20分間の上演、短い時間でしたが素晴らしいオペラ体験になっていれば幸いです。公演は盛況のなか幕を閉じ、最後にはPTAの皆さまからお花のプレゼントも頂戴しました。(なんとPTA役員の方がアレンジをしてくださったとのこと!)Trio99はこれからも、子どもから大人まで、オペラをもっと身近に、気軽に楽しんでいただける企画を重ねてまいります!2月に開幕する新作コンサート『海にまつわる曲を集めてみました♪』の調布公演では、市内の小中学生から募集して結成した「調布P連児童合唱団」の皆さんが出演します。合唱団の皆さんは、今まさにTrio99メンバーとのワークショップ(練習)を重ねています。ぜひこちらの公演にもご期待ください!